好きなものは好きであり、楽しいものは楽しいから仕方がない 「君はよくスタジアムに行くけど、サッカーの何が楽しいの?」と聞かれると答えられない。サッカーの何が楽しいか、ずばりこれだといった回答を持ち合わせていないのだ。一応、それなりの回答はある。「彫刻を眺めるように視点を変えながらいろんな角度から楽しめること」というのがそれだ。サッカー通同士で語り合う分にはそれで一向に構わない。しかしその質問を全くの素人にされたときにそのような抽象的な表現を用いても、変人扱いをされて終わるだけである。もしそういう場面に出くわしてしまったとき、私はこう答えるようにしている。「スタジアムに来れば分かるよ。」 「来ればいい」と言ってついてきてくれるような人間だらけなら苦労はしない。食わず嫌いな子供にピーマンの絵を見せてその美味しさを教えても伝わらないように、サッカーもまた映像を流してプレゼンテーションしたところで