Lesson263 表現者の味方 もしも、からだの微妙な形状まで はかる機械があったなら、 火曜の夜の私のからだは、 すこし、めりこんでいる。 火曜日は、このコラムの原稿を書いた後だからだ。 「ああ~(あんなこと書いちゃったよ)」とか、 「うー(もうだめだ)」とか、 ため息とも、うめきとも言えない声が おもわず、もれる。 電車に乗っていても、人と食事をしていても、 前後の脈絡に関係なく、 私が声をあげるので、 まわりから、怪訝な顔でみられる。 表現したあとは、いまだにこわい。 いったいなんで、 こんなにこわいんだろう。 思うように書けなかったら自己嫌悪になるし、 それは、自分が悪いだけだし、 がんばるしかないし。 それを、ここで愚痴る気持ちはない。 しかし、そうではなく、 思いのたけは書けたときでも あとから結果をみれば、 編集者さんや読者の反応がよかったときでも いや、むしろそういうとき