写真家の藤原新也氏が先般、新著「渋谷」を発表した。2人の少女と1人の元少女との関わりを通して、『今的日本、つまりシブヤ的なるもの』を解き明かそうとする試みだ。氏の作品には、つねに写真家の視点、感性と、作家(小説家)のそれが混在しているが、この本では写真家・藤原新也の存在が大きく占めている。そういう点では、写真を志す人間にとっては、より興味深い内容といえる。 また藤原氏は、デジタルカメラによる新しい表現の可能性を積極的に追究する写真家のひとりでもある。本書に掲載された写真は、多くがデジタルカメラで撮影されたものであり、「作者のたくらみ」が仕掛けられている。本書について、デジタル表現のいまとこれからについて、本書の舞台にもなった東京・渋谷でインタビューした。 ■ 写真家は基本的に追っかけ 前回、藤原氏にインタビューしたとき、「写真を撮ることで自分の精神のバランスを立て直しているんだ。写真を撮っ