冒頭、「今から70年前の1941年、日本はアメリカとの破局的な戦争、太平洋戦争へと向かいました。当時のリーダーは、アメリカとの圧倒的な国力差という現実を無視して開戦に突き進んだと、考えられてきました」というナレーションでのけぞる。一体いつのはなしだよ、と。今回も取材で新たに発掘した資料は使われているわけだが、開戦経緯についての基本的な描き方は、一般向けに書かれた文献でもとうにポピュラーになっているものと変わらない。というか、「政軍指導者の多くが戦争はできない、したくないと思っていたのに開戦してしまったのは何故か?」という問題意識は、敗戦から間もなく丸山眞男が「軍国支配者の精神構造」などですでに提示しているものだ。テレビ番組、特に地上波の総合で放送する番組の場合、視聴者がその題材についてもっている認識をどう見積もるかはたしかに難しい問題ではあるのだろう。しかし「70年」という節目を意識したシ