カオルソ原発に設置された世界唯一のイタリア製「脱放射能槽」。前に立つのはイタリア原発管理公社のエミリオ・マッチさん(左)ら原子力技術者=藤原章生撮影 【カオルソ(イタリア北部)藤原章生】イタリアは6月の国民投票で脱原発を決めた。政府は今、過去に稼働した原発(4基)の2020年前後の廃炉を目指し撤去に本腰を入れている。北部の町カオルソで進む原発解体作業を見た。 「この規模では世界唯一の脱放射能槽です」。線量計を胸につけ防護服でカオルソ原発のタービン建屋に入ると、イタリア原発管理公社の同原発所長、エミリオ・マッチさん(57)が、全自動の長さ10メートルほどの大きな水槽を示した。 この原発は福島第1と同じ型の原発。脱放射能槽では、総量で5000トンにおよぶ原子炉部品、機材を一つ一つ切り刻んでは弱酸性液の槽に浸し、放射性物質を取り除く。従来は砂を吹きつけ除染したが、効率を上げるため公社と民間のアン