敵・味方を峻別する安倍政治にからめとられたメディアの見るに堪えない姿 安倍政治に敗北したメディア(上)責任は保守系とリベラル系メディアの双方にある 徳山喜雄 ジャーナリスト、立正大学教授(ジャーナリズム論、写真論) 新型コロナウイルスが猛威をふるうなか、安倍晋三首相(65)は8月28日夕、持病の潰瘍性大腸炎の悪化を理由に辞任を表明した。第2次安倍政権は憲政史上最長の7年8カ月、「安倍一強」といわれた長期政権であったが、任期途中のあっけない幕切れとなった。 安倍氏が自民党総裁に返り咲いてから約8年。衆院選3回、参院選3回と国政選挙で6連勝をつづけてきた。「選挙の強さ」が長期政権の原動力となったと考えられるが、その敵と味方を峻別する分断対決型の政治手法は、修復不可能なほどにメディアと社会を切り裂くこととなった。 結論から先にいえば、安倍政治にメディアは敗北としたといえよう。ならば、ポスト安倍政