50年前は「人口抑制」こそが最大の懸案だった。そのとき正しかったことも時間が経てば過ちに変わる。正しいことを声高に叫ぶ人は危うい。 ベビーブームの余波 「国難とも呼ぶべき少子高齢化に真正面から立ち向かい、一億総活躍の新たな国づくりを推し進めます」 昨年の10月、第4次改造内閣の発足にあたり、安倍晋三首相は首相談話の中で政権の課題を真っ先にこう語った。 少子化が、日本という国が抱える「懸案」であることはいまやすっかり共有され、新聞でも、人口減少についての特集や社説を見ない日はない。 〈2040年の日本 人口減危機へ戦略を構築せよ〉(読売新聞'18年4月27日付) 〈人口を考える 縮む日本社会 未来の危機を直視する時〉(毎日新聞'18年7月15日付) 〈去りゆくひと 死んでゆく島 老いる国はどこに向かうのか〉(朝日新聞'18年12月30日付) こうしてみると、各紙いかに刺激的なタイトルで人口減