シンポジウム「妊娠から育児までの継続的支援」 1)妊婦定期健診について 水上尚典(北海道大学医学部産婦人科教授) 現在地球上では250人に1人の妊産婦死亡が起こっているが、わが国では「万が一」以下の3万人に1人であり、適切な医療介入により妊産婦死亡の大部分は予防可能である。未受診妊婦は0.3%と推定されているが、低出生体重児、周産期死亡率、早剥、子癇などいずれも高頻度となっている。妊婦健診において対応に複数の基準があれば訴訟の原因となる。患者を守り、医療者を守るためにガイドラインが作成された。 健診のもう一つの役割は不安感の除去、満足度上昇であるが、英国における研究では、妊婦の30%は助産師による管理で予後は良好であり、最終的満足度が高い結果が得られている。ガイドライン2011では院内助産システムについて、取り扱い可能な妊娠・分娩と、医師主導管理へ移行するための基準の目安を明示する。 産婦