死。人はたいてい、このよくわからないものから、目を背けて生きている。しかし、禅僧・藤田一照さんは、朗らかに死との対面をうながす。読めば勇気が湧いてくる、死のレッスンの開講です。 「人生の達人」が語る死 神奈川の逗子駅から車で約20分、住宅がポツポツと並ぶエリアに、林に囲まれたその山荘はあった。 「ああ、早いですね。いま火を入れるところだったからまだ寒いですよ」 約束の時間より少し早く記者が訪れると、作務衣姿の藤田一照さん(69歳)が囲炉裏に炭を入れ、迎えてくれた。動作が驚くほど身軽だ。 藤田さんは曹洞宗の禅僧である。名門・灘高校を卒業後、東京大学に進学。大学院で発達心理学の研究をしていたが、禅に出会い博士課程を中退した。29歳で得度し、33歳で師の命を受けて禅の普及のため渡米。17年あまりの在米中は、林のなかの坐禅堂で暮らし、近隣の大学や瞑想センターで禅の指導をした。シリコンバレーの企業に