私は困窮者支援の現場で、年間500件ほどの相談を受けるNPOを運営している。そこで聞こえてくるのは「年金が低すぎて生活ができない」「保険料が毎年上がっており、これ以上は負担が重たすぎる」「病気があってもお金がないから受診できない」「時給が安いので子どもを育てるのに仕事を掛け持ちしなければならない」といった声である。 非正規雇用の増加とワーキングプア、そして「下流老人」など、若者から高齢者まで貧困と格差が深刻さを増している。その猛威は、すでに普通に働いている中間層にも襲いかかっている。「中間層崩壊」と指摘される現実が私たちの目の前に現れている。現場の実感としては、どこに憲法25条で掲げる「健康で文化的な最低限度の生活」を享受している国民がいるのか、と思うほどの凄惨な生活実態が広がっている。 望まれているのは常に「雇用」と「社会保障」の充実 このままでは、日本は少子高齢化がさらに進展し、人口減