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聞き手:高田昌幸(フロントラインプレス代表) 2021年、元日の夜ちょうど1年ほど前から、フロントラインプレスの藤田和恵さんは時間を見つけては、瀬戸大作さんと行動を共にしている。瀬戸さんは「反貧困ネットワーク・新型コロナ災害緊急アクション」事務局長。仕事も住まいも失い、所持金もほとんどなくなってしまったという人から「SOS」が届くと、車を走らせ、駆けつける。 2021年1月1日、東京・千代田区の聖イグナチオ教会で「年越し大人食堂」が開かれた。出来立ての弁当を配り、生活相談を受ける。会場の撤収後、瀬戸さんは、すぐ車を駆った。SOSが届いていたからだ。その車に取材者として同乗した。夜7時すぎ。都心の正月はビルの明かりも行きかう車も少ない。新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、終末感を覚えるような光景だ。 SOSの主は、東京都内に住む60代の女性だという。ガスも電気も止まり、食べるものもない。
あきやま・けんいちろう/1971年兵庫県生まれ。『弁護士の格差』『友達以上、不倫未満』(以上、朝日新書)、『ブラック企業経営者の本音』(扶桑社新書)、『最新証券業界の動向とカラクリがよーくわかる本』『いまこそ知っておきた い!本当の中国経済とビジネス』(以上、秀和システム)など著書多数。共著に『知られざる自衛隊と軍事ビジネス』『自衛隊の真実』 (別冊宝島)などがある。週刊ダイヤモンドでの主な参加特集は、『自衛隊 防衛ビジネス 本当の実力』『創価学会と共産党』がある。 JAPAN Another Face 白昼の世界からは窺い知ることのできない、闇の世界や夜の世界。日本社会の「もうひとつの貌」に迫る。 バックナンバー一覧 大阪・西成の「あいりん地区」が、徐々に姿を変えようとしている。「危険な街」というイメージが後退し、観光客が集まる背景には何があるのか。年末年始の西成を歩きながら探った。(フ
貧困問題の社会活動家・藤田孝典氏が先日4月26日に書いた記事「岡村隆史『お金を稼がないと苦しい女性が風俗にくることは楽しみ』異常な発言で撤回すべきではないかがいまSNSで激しい論争を呼んでいる。 事の発端は、ナインティナインの岡村隆史氏が深夜ラジオ番組で、「コロナ収束後にお金に困ったかわいい女性が風俗で働きに来るだろうから、そのかわいい子につくのを客として楽しみにしよう」という趣旨の問題発言をしたのがきっかけ。藤田氏は記事で、この岡村発言を徹底糾弾、政治・行政的不作為の結果として存在する風俗従事女性のバックグラウンドを物ともせずに嬉々として利用する客たちの問題性を説くとともに、性を売らないで済む社会の実現を呼びかけている。 NPO法人ほっとプラスで困窮者支援を行なっている藤田氏と私は面識はないが、Facebookで長年繋がっていて、社会活動家としてのラディカルさにおいて注目・期待してきた一
<東大卒で元アナウンサーのライターによる『東大卒貧困ワーカー』は、著者が体験した非正規労働の実態が赤裸々に明かされる衝撃の書。なかでも特筆すべきは、高齢の派遣労働者が直面する過酷な現実だ> 『東大卒貧困ワーカー』(中沢彰吾著、新潮新書)の著者はノンフィクションライター。1956(昭和31)年生まれということなので、今年で62歳ということになるが、まず特徴的なのはそのキャリアだ。 東京大学文学部卒業後、アナウンサー、記者として勤務するも、そののち退社。以後は派遣労働者として働きながら、ライターとしての活動を続けているというのである。 筆者はこの4年、ライターとしての仕事の他に、非正規の派遣労働者として働いてきた。もともと大阪の毎日放送でアナウンサーとして勤務していた筆者が、このような境遇になったのは、決して不祥事とか当節流行の不倫が原因ではない。身内の介護というよくある事情から、こういうこと
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