「通夜・告別式は近親者のみで行います」。ここ10年で葬式の主流は、こうした家族葬になりつつある。ジャーナリストで僧侶の鵜飼秀徳氏は「背景にあるのはコスト意識のようですが、実際には家族葬は従来の一般葬よりも割高になります」という――。 「通夜・告別式は近親者のみで行います」という文言の背景 あなたは最近、勤務する会社の上司、もしくは同僚の親の葬式に出席したことがあるだろうか。 中堅以上の社員であれば、若手の時代に上司の親の訃報を受ければ、受付などの手伝いをしたことがあるのではないか。かくいう私もかつて、上司の葬式に何度か参列し、普段は厳格な上司が涙を見せたり、家族を紹介してくれたりして、「部長も人間らしいところがあるんだな」などと驚いたものだ。 しかし、ここ数年はどうだろう。特に東京で働く会社員は、会社がらみの葬式に出たことが、とんとなくなったのではないか。会社の掲示板の訃報通知には、昨今、