2012年11月のある週末。出張で訪れた広東省深センで、半日のフリータイムが取れた。そこで迷わず、電子機器受託生産(EMS)で世界最大手の台湾Hon Hai Precision Industry社〔鴻海精密工業、通称:Foxconn(フォックスコン)〕の工場に向かった。 同社は米Apple社のスマートフォン「iPhone」の主力工場を2011年8月から河南省鄭州に移したが、初代からiPhone 4までは、ここ深センで製造していた。 最大時で40万人もの従業員が働き、敷地内には工場や従業員寮はもちろん、ショッピングモールや病院、映画館、学校、競技場まであるこの製造拠点を、中国の人々は「城中城」、すなわち「都市の中に都市がある」と称する。かねがね、この巨大工場のスケールを体感するため、工場の回りをぐるりと一周、自分の足で歩いてみたいと思っていたのだ。 フォックスコンの深セン工場は、宝安区龍華、