『ダークナイト』で今最も注目されている監督のひとりになっているノーランであるが、ノルウェー映画のリメイクである『インソムニア』やプリースト原作の『プレステージ』などの注目すべき作品をいくつも撮っている。気になったので、二作目の出世作『メメント』を見返していた。 僕は、この作品は、現代における人々の基本的条件を表している作品だと思っている。ものすごく高く評価している。あらすじはというと、短期記憶しかもてない男が、メモを頼りに、妻を殺した男に復讐を図るというものだ。ここから先はネタバレの連続になるので、見てない人は読まない方がいい。実際に見て驚いた方がいい。常に忘却に教われる中で、オーソライズも不確かな文字情報と写真だけで物事を判断する。そして復讐すべき相手の「事実」(FACTS)は身体に刺青で彫られている。 この主人公は、とある事件以前の記憶は確かに持っている。それ以降の短期記憶がもてない。