2024年2月14日に予定されているインドネシアの大統領選挙に向けて、2023年11月28日に選挙キャンペーンの火蓋が切って落とされた。宗教的アイデンティティが争点のひとつとなり社会の分断が顕わになった2019年の選挙と比べると盛り上がりに欠ける印象のある今回の選挙だが、インドネシア政治の今後を見定めるうえで重要な選挙であることには違いない。 権威主義体制をとる国が多い東南アジアで、インドネシアは数少ない民主主義国のひとつであると評されてきた。また、過去5年ほどの間に法の支配や権利保障といった自由主義の側面が浸食されつつあるという現象はみられるものの、公正な選挙を実施するという民主主義の手続き的な側面は相応に担保されている、というのがこれまで主流の見方であった。 しかし、今回は選挙の公正性までが危険に晒されているとして、各種メディアや市民社会が神経を尖らせている。選挙の現場で何が起きている
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