1998年に写真集「TOKYO SUBURBIA 東京郊外」を出し、木村伊兵衛賞をもらいました。ニュータウンやファミリーレストランなどを被写体にし、クールさや色づかいが評価された一方、「よくあんなつまらないところ撮れるね」とも言われた。でも僕にとっては気持ちのいい場所なんですね。 あれは僕の子どもの頃の原風景なんです。田無市(現西東京市)の大きな団地で育ち、近くの新青梅街道沿いに「デニーズ」があった。両親は2人で商売をしていたので、週2回は父に「『デズニー』に行ってこい」とお金を渡され、兄弟3人でハンバーグなどを食べていました。 自宅にほど近い西武池袋線のひばりケ丘駅前も好きでした。新しくて西友やパルコもあって理想の駅前開発だった。最寄りの西武新宿線田無駅周辺には古い商店街がありましたが、過去のしがらみと離れたすっきりさのほうが僕には合っていた。