本誌(米フォーリン・ポリシー)は昨年夏、カナダの自由主義改革の成功を称える記事を掲載した。繁栄しても破綻はしない自由主義経済モデルかもしれないからだ。 1990年代初めのカナダは、ちょうど今のアメリカや欧州各国さながらに巨額の財政赤字と膨れ上がる国家債務に苦しんでいた。その窮状は、1994年にウォールストリート・ジャーナル紙で「実状は第3世界」と揶揄されたほど。だがその後、徹底した歳出削減と社会福祉制度改革によって財政再建と経済の活性化に成功。今やカナダは、21世紀のグローバル経済のリーダーになりつつある──。新著『カナダの世紀』の共著者でもあるブライアン・リー・クローリーら3人は、記事の中でそう主張した。 イギリスの庇護と隣国アメリカの発展に牽引されてカナダが繁栄を謳歌していた1904年、ウィルフリッド・ローリエ首相(当時)は「19世紀はアメリカの世紀だったが、20世紀はカナダの世紀にな