その一方、日本企業は海外にどんどん投資をしていきました。96年末に31兆円だった対外直接投資残高は、2021年末時点で229兆円に拡大しています。 なぜ日本企業の投資先は国内ではなく海外だったのか。それは収益率が高かったからです。国内企業のROA(総資産利益率)は3~4%程度でしたが、対外直接投資の収益率は6~8%程度。企業にとっては海外に投資することが合理的な選択だったのです。 日本は人口減少だけでなく、円高や電力不足といった「6重苦」に直面していました。企業には、今後も高い成長が見込める海外のほうが魅力的だったのです。投資減税や立地補助金を設けて国内投資を呼びかけてきたのですが、思うように効果を上げられませんでした。 問題は、海外投資の収益が現地で再投資されることが多く、国内の賃金上昇や労働生産性の向上に結び付かなかったことです。これが失われた30年の大きな要因となりました。 こうした
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