【寄稿】 Jolt accentuation再考 髄膜炎のより適切な診断のために 内原 俊記(東京都医学総合研究所 脳病理形態研究室長) Jolt accentuation(JA)は「1秒間に2-3回の周期で頸を横に振ってもらう,または他動的に振って頭痛が増悪する」という所見で,髄膜炎を予見するのに有用とされています。その根拠となっているのは,1991年に発表したわれわれの研究1)で,これは筆者が卒後5年目のとき,ある髄膜炎患者さんの「歩くと頭痛が響く」という訴えに,「髄膜炎では頭部の動きで痛みが増悪するのか?」という疑問が,ふと頭をよぎったことがきっかけでした。 現在広く普及しているJAですが,正しく用いられなければ,検査としての感度や特異度が低下し,判断を誤る可能性も高まります。髄膜炎をより正確に診断するために,本稿では最近の研究結果なども踏まえ,あらためてJAについて考察します。 事