○塚田孝『大坂の:乞食・四天王寺・転びキリシタン』(ちくま新書) 筑摩書房 2013.10 序章に言う。読者の多くの方々の江戸時代のイメージは「士農工商」の身分制で縛られた窮屈な社会であり、百姓や町人の不満をそらすため「えた」身分が政治的に作られたというものではなかろうか。…うーん、それはちょっと旧弊すぎるかな。私の江戸時代イメージは、もう少し自由闊達である。 しかし、続けて「江戸時代のは、もともと貧人という語でも表現され、乞食(こつじき)で生きざるを得ない人たちのことであった」という一文が目に留まったときは、初めて聞く説で驚いた。え、貧人(ヒンニン)→(ヒニン)なのか。そういえば、古地図にの居住区が記載されるときは、カタカナ表記が多かったかもしれない。古代の浮浪(流民)から現代のホームレスまで、仕事や住居を失い、生活困難に陥ることは、いつの時代も、誰にでも起こり得ることだ。別に特殊な血統