ラスボス降臨 : 有機化学美術館・分館10月4 ラスボス降臨 さてこの夏に「構造有機化学若手の会」にお招きいただき、「分子の世界のギネスブック」と題して一席ぶって参りました（資料はこちら。PDFで4.8MBありますので注意）。ここで「最長のポリイン」として-C≡C-単位が16個並んだ分子を紹介したのですが、この記録が38年ぶりに破られたようです。Nature Chemistry誌に、三重結合22個が連結した化合物が報告されたのです。 大幅記録更新の鍵になったのは、末端に取りつけた立体保護基であったようです。共役系が長くなると不安定になるので、大きな置換基を取りつけて酸素や水などの攻撃から保護せねばなりません。よくかさ高い置換基としてはtert-ブチル基とかメシチル基（2,4,6-トリメチルフェニル基）とかが使われますが、ここまで長い鎖となるとこの程度の立体保護基では用をなしません。著者Tykwinskiらが持ち出したのはこちら
