九州電力のいわゆる「やらせメール」は、教訓とすべきいくつかの問題を投げかけた事件であったと思います。それにしても、この事件は、九州電力のみならず、原発を運用管理する電力会社への信頼をさらに深く傷つける結果を招きました。結果、点検で休止している原発の再稼働を困難にし、それによって電力が確保できない問題が深刻化してきています。 それにしてもなぜ、九州電力やその協力会社には、普通なら働く倫理観や常識が働かなかったのでしょうか。 この「やらせメール」事件は、1972年に社会心理学者のアーヴィング・ジャニスが提唱した概念の「グループシンク(集団浅慮)」の罠が働いた結果そのものです。普通では、決して渡らない赤信号も、グループでいると、誰かが渡ろうと言い出しても誰もが反対せず、そのままみんなで渡ってしまうことが、組織にはしばしば起こりえるという問題です。 このメールが赤信号を渡る行為であることはメールを