19日に3年ぶりに開かれた岸田文雄首相と野党各党トップによる「党首討論」。首相にとっては初めての体験だった。改正政治資金規正法や選択的夫婦別姓などで守勢に回る場面が多かったが、入念に事前準備を重ね、今後の政権運営を見据えた布石も打っていた。内閣支持率低迷が続く首相への冷めた空気も自民党内で広がるタイミングでの開催。首相が描いた戦略とその舞台裏を探った。 「四面楚歌(そか)だというご指摘でありますが、私自身は四面楚歌であるとは感じておりません」 国民民主党の玉木雄一郎代表から「国民の信頼も地に落ちている。四面楚歌、八方ふさがり。なぜこういう事態に陥ったと思いますか?」と問われた首相は、厳しい顔つきで反論し、「批判が出る中にあっても、やるべきことはやる。これが政治家の責任だ」と語気を強めた。 党首同士が1対1で丁々発止のやりとりを交わす党首討論は、日ごろの国会審議とは違い、官僚が作った原稿を棒