“フクロウが暗闇の中で獲物を狙うときには、どんなに視覚が発達しているといっても、まったく光がなくては視覚に頼るわけにはいかない。そのときに頼りになるのが聴覚である。この場合、聴覚といっても大切なのは音楽的な感覚などではなくて、獲物から発する音を聴いてその音源の位置を正確に、しかも精密に判定する能力である。そうした知覚行動は音源定位と呼ばれている。 音源定位を行うための知覚の要素としては、音源から両耳までの距離が違うために起こる、音がそれぞれの耳に届くまでの時間の差と、それぞれの耳の鼓膜を刺激する音圧の差との、二つが重要であることが知られてきている。無論のこと、音源が顔の真正面にあれば、どちらの差も零となる(図35)。つまり、これらの差の値が零となるように頭を回転させれば、顔の正面に音源つまり獲物が向かい合うことになる。脳はこうした差の値を判定して、音源定位を行っているわけである。 この音源