シャンソン歌手であり、料理愛好家の平野レミさん。新刊のエッセイ集『家族の味』(ポプラ社刊)では、料理の腕を磨いた経緯や料理の魅力を語っています。その中から料理をおいしくする秘訣を抜粋してお届け。今回は、家庭でステーキをおいしく焼くコツです。 やりながら自分で発見して覚えていったことも多いけど、お母さんから教えられたこともたくさんあります。 私が小さい頃、カレーをよく作ってくれて、あの頃は固形ルーなんかないので、力レー粉を鍋で炒めて作るの。私がおなかすかせて「早くして早くして」って言うと、「だめ、ちょっと待ってなさい」「どうして?」「粉臭さがなくなるように、よ一く炒めないとだめなのよ」なんて言われながら学んでました。さっき母の料理を「安く、手早く、おいしく」と言ったけど、手早いだけじゃだめだってことも教えられたわけ。 うちのお母さんはステーキを焼くのが上手で、天下一品でした。お父さんが詩の会