ことばには、意味を超えた不思議な力があります。それは、名前にも言えること。 たとえば、「スズキ シュンスケ」という名前を聞くと、いかにも機敏で颯爽とトラックを駆け抜けるアスリートのような感じがします。 「ゴウトクジ マナブ」と聞くと、なんだかいつも難しい本を読んでいる研究者のイメージ。 そして、「ゴジラ」「ガメラ」「キングギドラ」…という怪獣の名前からは、なぜかとても強そうな印象を受けます。 「これらは偶然ではありません。語感が脳に与えるイメージによるものなのです」というのは、語感研究のパイオニアである黒川伊保子さん。 それは、いったいどういうことなのでしょうか? 「“シュンスケ”と発音すると、“シュ”や“ス”で口の中を息が素早く吹き抜けるのがわかりますよね。サ行の名前は、発音すると口の中の温度が下がるため、風が吹き抜けるさわやかなイメージが残るのです」 シュン、スケ。シュー、スー…。確か