元朗駅で襲撃事件を起こした後、たむろする白シャツ集団(7月22日) TYRONE SIU-REUTERS <1本の法案に反対するデモ活動が香港政府そのものに対する抗議に拡大。エンドゲーム(終盤)は新たな局面に移った> 近代的な地下鉄駅の改札を、続々と突破していく白いTシャツ姿の男たち。手には傘ほどの長さの棒を持ち、目に付いた人たちに片っ端から襲い掛かる。コンコースに響く怒号と悲鳴。さらに男たちはホームに降り、到着した電車にも乗り込んで人々をメッタ打ちに──。 香港に逃げ込んだ犯罪容疑者の身柄を中国に引き渡すことを定めた「逃亡犯条例改正案」が、香港市民の猛烈な反発を招き、大規模なデモにつながったのは6月のこと。その結果、香港特別行政区の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、改正案の審議停止を発表し、事態は収束に向かうかに思われた。 だが、市民の抗議行動は終わらなかった。それどころか、この数週