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ブックマーク / blog.goo.ne.jp/ikedanobuo (10)

  • 経済成長というゲームの終わり - 池田信夫 blog

    今週のニューズウィークにも書いたが、JALの年金債務は、日の他の企業にも通じる深刻な問題だ。日経新聞の今年3月の集計によれば、主要上場企業の年金・退職金の積立不足は総額約13兆円と、前年比で倍増した。この最大の原因は、株安によって年金原資が大幅に減ったためだ。上位10社は次のとおり:日立製作所:6866億円 NTT:5763億円 東芝:5446億円 ホンダ:4566億円 パナソニック:4188億円 三菱電機:4039億円 富士通:4001億円 トヨタ自動車:3929億円 NEC:3483億円 日航空:3314億円どの企業でも、積立不足の額は積立額に近いか上回っており、年金積立のほぼ半分が不足している。こうした年金債務は現在の会計基準では計上しなくてもよいので「簿外債務」になっているが、今度のJALのように企業が破綻するリスクが出てくると現実の債務となる。国際会計基準が

  • 「記者クラブの壁」の崩壊 - 池田信夫 blog

    きのう日のツイッターで最大のアクセスを集めたのは、「岡田外相 全メディアに記者会見を原則開放」というスポニチの記事を伝えた私のメッセージだった。その後、この記事を毎日、産経、共同、時事が追いかけたが、今に至るも朝日・読売・日経はまったく伝えていない。 昔ならこの3紙が情報カルテルを組めば、発生した事件もなかったことにできたかもしれない。しかし今では、グーグルで上の記事を検索しただけで2160件も出てくる。かつて国境を越えた電波が東欧の民主化を進めてベルリンの壁を壊したように、今やウェブは記者クラブの壁を壊したのである。

  • 日本のバランスを回復する - 池田信夫 blog

    今週のEconomist誌は、日の過大な経常黒字=過少消費が世界経済と日自身にとって有害だと論じ、規制撤廃によってサービス業の労働生産性を上げて内需を拡大すべきだと提言している。日の経常収支の黒字は、2007年にGDPの4.8%と過去最高を記録した。これは日の輸出が世界の脅威となった80年代を上回る。当時、前川リポートは「内需拡大」を呼びかけたが、その後も輸出産業に依存する体質は変わらなかった。90年代以降は、国内産業の業績悪化によって輸出への依存度はむしろ高まり、危機前には工業生産の1/3が輸出産業によるものだった。 国内消費が増えない要因は、労働分配率の低下や高齢化、大企業と中小企業の二重構造、非正規労働者の増加による平均賃金の低下などだが、好不況にかかわらず消費が伸びないのには文化的要因も考えられる。日人は勤勉を重んじて長時間労働に耐え、余暇を楽しむすべをあまり知らず、借

  • いじめの構造 - 池田信夫 blog

    今の日が直面している質的な問題は、絶対的貧困でも所得格差でもなく、戦後ずっと維持されてきた日的中間集団が安定性が崩壊する一方、それを受け止めて変化を調整するシステムができていないことだと思う。それが企業社会では非正社員の問題として出ているのだが、学校では「いじめ」という形であらわれているようだ。 日の学校は単に勉強する場ではなく、地域の生活や家庭の関係などもすべて反映する共同体になっているため、それに適応できない異端児は、いじめによって全人格的に排除される。いったん排除される対象が決まると、正のフィードバックが生じて他の子供がいじめに「群生」し、ときには自殺のような悲劇的な結果をまねくまで止まらない。 他方、学校もこうした行動にあまり介入せず、子供たちを学校のルールを守って「仲よくさせる」ことで解決しようとする。しかし学校の秩序に子供を組み入れても、問題は解決しない。なぜなら、

  • 「自閉化」するウェブ - 池田信夫 blog

    著者は有名な経済ブログ、Marginal Revolutionの管理人。彼もインターネットの現状について怒るのは、「バカが多すぎる」ということだ。したがって今後のウェブの進化のフロンティアは、下らない情報を排除して必要な情報だけを見るしくみをつくることだろう。私が日常的に見るウェブサイトは、自分のブログと「アゴラ」以外は、RSSリーダー(20ぐらいしか登録してない)とグーグルニュースぐらいで、これで95%の用は足りる。著者も、FacebookやTwitterなどの新しいテクノロジーは、必要な情報だけを見る方向に進化しているという。 この傾向を彼は自閉症(autism)と表現する。これはかつては治療の必要な病気と考えられたが、最近では多くの人に共有される性格の一種と考えられている。人間関係がうまくいかないので社会的活動には支障をきたすことがあるが、逆に他の人間と共同作業する必要のない芸術家

  • 太陽活動は弱まっている - 池田信夫 blog

    地球温暖化の唯一の原因は太陽の輻射熱だから、太陽活動が弱まれば、温室効果ガスがどうなろうと地球は寒冷化する。そして2008年から太陽活動は弱まるサイクルに入り、そのエネルギーは1928年以来最低の水準になる、とNew Scientistは予測している。 他方、ベルギーの太陽黒点数データセンターの観測でも、黒点の「相対数」は今年は4月までの暫定値が1.2と、1810年以来の低水準を記録した、と朝日新聞は報じている。太陽の黒点数は太陽活動の指標であり、地表温度と高い相関がある。17〜8世紀には約7...

  • 90年代の日本の勝利? - 池田信夫 blog

    先日の「総理にきく」で麻生首相がこう答えていた:財政出動やったことをボロカスにたたかれましたけれども、今になって、日がやってきたのは、あれは考えてみれば、彼らの勝利だったんだと言って、マーティン・ウォルフなんていう有名な人がウォール・ストリート・ジャーナルだか、ファイナンシャルタイムズに記事を書く。そういったとこでなっているとは思いますよ。Martin WolfはFTの有名な記者で「ウルフ」と読むんだけど、まぁそれはいいとしよう。問題の記事は、クルーグマンなどにも引用されて、日の90年代についての誤った教訓を世界に広めているようだ。麻生首相まで変な自信をもっても困るので、訂正しておこう。 まず致命的な問題は、ここでウルフが依拠している唯一の文献が地底人のだということだ。それを真に受けて、ウルフは「バラマキ財政がなかったら日のGDPは大恐慌になっていただろう」などと書いているが、図

  • シリコンバレーの「核の冬」 - 池田信夫 blog

    Web2.0バブルが終わった。グーグルの大成功をみて多くの企業が参入したが、結局ものになったのはグーグルだけだった、とEconomist誌は総括している。それはビジネスとしては「2.0」なんかではなく、ドットコム・バブルと同じ広告モデルしかなかった。そして景気の影響をもっとも受けやすい広告ビジネスは金融危機で消滅し、また「核の冬」がやってきた。 資主義の条件は持続的に利潤を生み出すことだが、その基盤となっている市場メカニズムは利潤をいつぶす。マルクスもいったように、「商品経済は偉大なレヴェラー(水平主義者)」なのだ。利潤率は傾向的に低下し、国内で鞘が取り尽くされたあとは植民地から、そして植民地が独立するとグローバル資主義による「経済植民地」から、それも限界が来ると金融資主義によって・・・と絶えず新しい利鞘を追求する自転車操業が資主義の宿命だ。 しかし利潤は市場や情報の不完全性

  • 雇用問題についてのまとめ - 池田信夫 blog

    雇用問題についての取材は、まだまだ続く。きのうは地上波テレビ局から出演の要請があったが、「私の名前はブラックリストに入ってますよ」と答えたら、さすがにNGになった。しかし地上波局まで「正社員の既得権」というアジェンダを意識し始めたことは、大きな前進だ。次のでもテーマの一つにする予定なので、ジャーナリストのために経済学の基的な考え方を紹介しておこう。短期の問題だけを考えてはいけない:「解雇規制を緩和したらクビを切られる社員がかわいそうだ」という同情論は、桜チャンネルの司会者からリフレ派まで広く分布しているが、これは短期の問題だけを見ている。長期的な自然失業率への影響を考えると、サマーズも指摘するように、「労働者保護」の強化は必ずしも労働者の利益にならない。 解雇規制を強めることは失業率を高める:ゲーム理論で考えると、解雇規制を強めることは正社員の雇用コストを高め、失業率を高めるのは自明

  • ネット規制を競う自民・民主・総務省 - 池田信夫 blog

    民主党はきのう、「子どもが安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案」を了承し、今国会に提出する方針を決めた。民主党の法案なんてだれも関心を持たないだろうが、これは先日の自民党のネット規制法案とほとんど同じ内容だ。つまり民主党案が出ると自民党案も出され、両党の協議でネット規制法が、今国会で成立する可能性が高い。 その自民党案は、私が入手した「青少年の健全な育成のためのインターネットの利用による青少年有害情報の閲覧の防止等に関する法律案(未定稿)」によれば、次のようなものだ(条文は一部略):第2条の2(青少年有害情報の定義) この法律において「青少年有害情報」とは、次のいずれかの情報であって、青少年健全育成推進委員会規則で定める基準に該当するものをいう。青少年に対し性に関する価値観の形成に著しく悪影響を及ぼすもの青少年に対し著しく残虐性を助長するもの青少年に対し著し

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