「表現の自由」の権利がときに他者の尊厳を傷つけることは、これまでにも指摘されてきた。1997年に神戸で起きた小学生連続殺傷事件の被害者遺族が息子の命日にあたり、加害者が出版した手記に対して「被害者の精神へのさらなる加害行為」というコメントを発表した(5月24日毎日新聞)。それも表現の自由とはなにかを根本から問うものだった。 この本については、昨年の刊行時、新聞各紙が被害者に対する加害性を指摘していた。毎日は、出版を肯定的に捉える別の少年犯罪被害者の声も紹介していた。 この記事は有料記事です。 残り741文字(全文977文字)