メタデータ流通ガイドラインの取組 電子情報部電子情報サービス課・牛尾響(うしおひびき)、當舍夕希子(とうしゃゆきこ) データベースのメタデータ設計に関わる担当者がメタデータの項目・流通経路を検討するためのツールとして、2022年3月にメタデータ流通ガイドライン(以下「ガイドライン」)の「共通編」を公開した。その後も資料種別編として2023年3月に「研究データ編」、6月に「古典籍編」を公開している。本稿では、ガイドラインの作成背景と特徴を紹介する。 近年、図書館や学術機関の扱う情報資源は多様性を増し、その記述に用いられるメタデータスキーマ(メタデータ記述規則。以下「スキーマ」)や、情報資源が公開されるデータベースもまた多様化している。そうした中で、情報資源をより広く利用者に届けるためには、持続可能なかたちでメタデータを流通させ、発見されやすい状態にしなければならない。そのためには、メタデータ
【読売新聞】辺りが暗くなると、格子柄の建物が浮かび上がる。ガラス窓を通して見える中には、整然と並ぶ書架。西南学院大(福岡市早良区)の図書館は、昼と夜とで印象が、がらりと変わる。 日中は赤レンガをまとった重厚な趣だ。窓がところどころ
検索した文化財のデータ。文化財ごとにIDとなる「日本全国文化財番号」を新たに設定した=奈文研のホームページから 奈良文化財研究所(奈良市)は、国や都道府県が指定する文化財に関する報告や記録を集約し、一覧検索できるデータベース「全国文化財目録」を公開した。対象は同じなのに、組織によって異なる名称が使われていた報告書のデータを統合し、情報の収集や比較がしやすくなった。まずは調査概要の情報のみまとめており、今後も関連情報の統合を進めて、研究や情報管理で飛躍的な効率向上を目指す。 国や自治体が公開している文化財約73万件を精査し、同じ対象なのに呼び方の違いなどで重複していたものを除いた約51万件(無形文化財なども含む)に固有のIDを付与。IDごとに調査記録などの情報を関連付けた。関連画像をAI(人工知能)で見分ける仕組みも開発中で、関連する画像をIDごとに集約させることを目指す。発掘担当者などが調
執筆:松尾 奈々絵(一般社団法人マンガナイト)/編集:鈴木 史恵(一般社団法人マンガナイト)/収録:菊池 健/編集:坂本 麻人(Whole Universe) メディア芸術には、マンガ、アニメーション、ゲーム、メディアアート等のさまざまな分野があり、日々たくさんの作品が生み出されています。それにまつわるデータも作品に付随する形でつくられていますが、その方法は分野によって全く異なっています。それにもかかわらず、作品の客観的な情報はつくる人や視点によって大きく変わるものではありません。しかし、どの情報を記録するかは変わり得ます。また、作品の解釈や内容に関するデータはつくる人や視点によって大きく変わるため、ユーザーがデータに関わることで議論が巻き起こることもあります。そういった複雑なデータの世界が、メディア芸術の分野を豊かにしている一面もあるでしょう。 今セッションでは、「メディア芸術におけるデ
トップ > 記事 > もの、できごと、人をつなぎ、メディア芸術の「今」を記録し続ける メディア芸術データベース 正式公開記念対談 大向一輝×三原鉄也 坂本 のどか 写真:栗原 論 マンガ・アニメーション・ゲーム・メディアアートの作品情報や所蔵情報の整備と、メディア芸術へのアクセスおよびその保存・利活用の要となるデータの提供を目的に、文化庁により構築・運営されてきた「メディア芸術データベース」(以下、MADB)。本データベースは、2015年3月に開発版が、2019年11月にベータ版がリリースされました。その後2023年4月、MADBに関する事業は文化庁から独立行政法人国立美術館国立アートリサーチセンターに引き継がれることとなり、2024年1月31日、名称から「ベータ版」が取れ、正式にリリースされました。その約1カ月後に行われた本対談では、MADBの設計に携わるお二方、大向一輝氏と三原鉄也氏を
1. 全国文化財目録の概要 (1)システムの概要と背景 日本には、遺跡、建造物や有形文化財など膨大な文化財があります。それらの文化財に対し、同じ文化財であっても国・都道府県・区市町村・大学や博物館などそれぞれの機関から文化財に関するデータが作成されます。また、同じ文化財(主に遺跡)であっても、複数回の調査が実施されることがあります。 結果、同一の文化財に複数の情報や記録が生成されましたが、バラバラにあるため、一元的に確認することは難しい状況でした。 そこで、文化財単位に各情報を名寄せし、集約しました。 全国文化財目録(2023年12月7日公開) URL: https://sitereports.nabunken.go.jp/ja/search-cultural-heritage 2. データと機能 (1)データ 下記のデータをもとに、名寄せ処理しました。 遺跡抄録データ 約14万件 htt
丸善雄松堂がNIIへ書誌データの提供で協力~NIIの電子ブックメタデータ「ディスカバリーサービス」の実証実験に電子図書館Maruzen eBook Libraryの書誌データを提供~ 丸善雄松堂株式会社(本社:東京都港区/代表者:代表取締役 矢野正也/以下:丸善雄松堂)は、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立情報学研究所(東京都千代田区/所長:黒橋禎夫/以下:NII)に対し、丸善雄松堂が保有する電子書籍に係る書誌データ約12万件を提供することについて2023年7月に合意いたしました。今後、NIIが整備を進めている国内電子ブックメタデータのディスカバリーサービスのプロトタイプ構築のための基礎データとして活用されることになります。 コロナ禍において非接触・非来館型図書サービスのニーズが顕在化し、コロナ後も国内外の研究・教育の場で電子図書館サービスの定着が見られます。その流れの中でN
2023年9月18日付けで、Information Technology and Libraries誌42巻3号に、目録作成におけるChatGPT などのAIの可能性について述べた論文“From ChatGPT to CatGPT:The Implications of Artificial Intelligence on Library Cataloging”が掲載されました。 ChatGPTにRDA(Resource Description and Access)やDublin Core Metadata Element Setなどに準拠したMARCレコードを生成させる実験を行い、目録作成能力をテストした結果についてまとめられています。 実験結果は、レコード作成プロセスを合理化するツールとしてのChatGPTの可能性を示しているとしています。学習データの偏りから生じる誤りや矛盾について
2023年8月14日付けのOCLC Researchのブログ“Hanging Together”に、機械学習を用いてWorldCat上の書誌レコードを改善する取組について紹介した記事“Machine Learning and WorldCat: improving records for cataloging and discovery”が掲載されています。 記事では、WorldCat上では書誌レコードの品質改善のため、1か月あたり平均約1万1,000件の重複レコードが手動で、約100万件の重複レコードが自動化ソフトウェアによって機械的に削除されているとした上で、重複レコード削除のプロセスを改良するために、機械学習を用いて重複レコードの特定を目指す取組について紹介しています。主に2022年に、機械学習モデルの精度向上のために、OCLC参加館等の協力で実施されたトレーニングデータ作成作業につ
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2023年8月23日、丸善雄松堂株式会社が、国立情報学研究所(NII)に、同社が保有する電子書籍に係る書誌データ約12万件を提供することについて、2023年7月に合意したことを発表しました。 発表によると、同社の電子図書館サービスである「Maruzen eBook Library」で提供されている電子書籍の書誌データについて、NIIが構築を進める国内電子ブックメタデータのディスカバリーサービスのプロトタイプのために提供することとしたとしています。 丸善雄松堂がNIIへ書誌データの提供で協力~NIIの電子ブックメタデータ「ディスカバリーサービス」の実証実験に電子図書館Maruzen eBook Libraryの書誌データを提供~(丸善雄松堂, 2023/8/23) https://yushodo.maruzen.co.jp/release/20230823/ 参考: これからの学術情報システ
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