21世紀に入り、日本はグローバル化する世界の中で「坂道を転げ落ちるように」、その存在感を喪失してきた。「ジャパン・パッシング」と呼ばれるこの趨勢に加え、中国の強大化、経済の空洞化、少子高齢化、格差拡大、そして東日本大震災と福島原発事故により、ますます日本人の不安は増殖し続けている。2020年のオリンピック開催で一時的にこの傾向に歯止めをかけられても、抜本的な対策が立てられないなら趨勢は変わらない。 わが国がこれほどの苦境に陥った最大の理由の一つは、1980年代から始まっていたデジタル革命の決定的な意味を読み誤った点にある。「技術力」と「経済力」に自信満々だった日本は、デジタル技術の可能性を、もっぱら技術革新や市場戦略の面からしか理解しなかった。それが人類の知識にもたらす革命的な変化に気づかなかったのである。さらに私たちは、そうした知識の革命が、世界経済をも呑み込むほどの大変化であることを理