歩きだしたと思ったらしゃがみこんで、地面に手をあてて。また歩きだしたと思ったらしゃがみこんで、地面に手をあてる。いっこうに進まない足取りに内心いらいらしながら、その動作にいったいなんの意味があるのかと観察してみれば、こけた拍子に触れたコンクリートの地面が春の日差しであたたかいというその事が不思議でならないのだというように、地面を触ってぬくもりを確かめているのだとわかった。出港までまだ時間に余裕はあるのだし、意味もなく急(せ)くこともあるまいと腰を据え、そばで見ていると、相変わらず座ったまま地面に手を触れて、また少しの距離を移動ししゃがみこみ地面に触れて、そこが本当にあたたかいのだという事を、今度は一緒に連れているぬいぐるみに伝えている。 子供には彼ら彼女らなりの、世界との関係の構築の仕方があるのだろうと思った。 少し前までは行くといってきかなかったアンパンマンこどもミュージアムも今は素通り