人口は過去40年で半減、企業誘致も叶わず。 「刑務所誘致」。岩谷義夫元町長が取った秘策は、町に驚きの効果をもたらした。 刑務所といえば、分厚く高い壁—。しかし「島根あさひ社会復帰促進センター」と名付けられた浜田市旭町の刑務所には、その塀がない。 フェンス一枚で外部と隔てられているだけで、中の施設が丸見えだ。だが、人がフェンスに近づくと空間センサーが反応し、米軍戦闘機が上空を飛んだだけでも振動警報システムが作動する。これらは民間の警備会社の最新鋭のシステムだ。 2008年に開所したあさひ促進センターは日本で4番目のPFI方式による矯正施設だ。PFI方式とは民間のノウハウを生かした公共施設のこと。つまり、半官半民の刑務所である。罰を与えるだけでなく社会復帰に主眼を置いた施設ゆえ、また、自然豊かな周囲の風景に溶け込むようにと施設のデザインは塀や鉄格子がないなど開放的な雰囲気が漂う。 旭町(05年