経済不況、増大する失業者と貧困者、貧富格差の拡大、機能しない政治、広がる閉塞感――「超大国・アメリカ」の現在の状況は1930年代の大恐慌時代を思わせる。3年前に「Yes we can」(我々はできるのだ)の掛け声とともに史上初の黒人大統領を選んだ時にアメリカを覆った熱気がウソのようだ。 こうした状況下で、今、お互いに全く相容れない二つの階層から、「草の根」と自称するマグマが噴出し、得体の知れないうねりとなって全米に広がっている。 二つの異なる階層から噴出したマグマ 一つは草の根保守「ティーパーティ(茶会)運動」である。中西部シカゴの白人中産階級から2年半前に噴き出た。 運動の主体は、地方都市の自営業者と非労組組合員の白人労働者たちだった。彼らは毎日曜日に教会に行く。聖書の一字一句を信ずる福音主義プロテスタント教徒。平均的な学歴は高卒。手に職を持ち、「働かざる者食うべからず」が信条。分相応の