「日銀は政府の子会社だ」。安倍晋三元首相の発言が波紋を広げている。市場に混乱が広がる恐れもあり、慌てた政府は火消しに躍起だ。安倍発言はそれほどの危険性をはらんでいる。 問題の発言は9日に大分市で開かれた講演で飛び出した。安倍氏は「(政府の)1000兆円の借金(国債)の半分は日銀が買っている」としたうえで「『日銀は政府の子会社』なので(返済の)満期が来たら、返さないで借り換えて構わない。心配する必要はない」と語った。 日銀は政府の子会社なのだから、どんなに国が借金をしても国債の大部分を引き受けさせることができる。政府の意向でコントロール可能だ――と受け取られかねない発言に、政府・与党は否定に追われた。 松野博一官房長官は10日の記者会見で「日銀の自主性は尊重されなければならない」と指摘。自民党の茂木敏充幹事長も「発言を聞いていないので趣旨が分からない。金融政策は日銀の自主性・独立性に委ねられ