最後の閣僚会合となるはずだった環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で、再び「大筋合意」が見送られた。日米が各国に政治決断を迫ったのに対し、徹底的に争ったのは酪農王国のニュージーランド(NZ)だった。月内に再び会合を開いても着地点が見えているわけではなく、中国をにらんだ日米主導の「太平洋経済圏」づくりは簡単に進みそうにない。 「乳製品に競争力がない国と難しい問題を抱えてしまうのはいつものことだ」 大筋合意できないまま始まった閣僚会合後の共同記者会見。NZのグローサー貿易相は各国の閣僚が並ぶ席で、名指しこそしなかったが、小規模経営の酪農家が多い日本やカナダを念頭に、NZの主張に問題がないことを強調した。 その2時間後。別のホテルで会見した甘利明TPP相は、そんなNZに激しくかみついた。「某国はいろいろ過大な要求をしている。日本だけでなく各国に影響がある。頭を冷やしていただかないと」 2人の確執は