このところ音楽関係者も次々と新型コロナウイルスの犠牲となっているが、リー・コニッツも亡くなってしまった。去年くらいまで普通にライヴで演奏していたので突然の死という感じもするが、改めて考えてみるととうに90歳を越えていた(享年92)わけで、怪物である。 チャーリー・パーカーを別とすれば、コニッツは私が最も好きなアルト・サックス奏者なのだが、コニッツの良さはなかなか伝わりにくいというか、とっつきにくいところがあるとは思う。その理由の一つは、たぶん彼のスタイルがジャズ・アルト・サックスの主流と明確に異なるからだろう。ほぼ全てのアルト吹きが多かれ少なかれチャーリー・パーカーの影響下にあったと言って良いビバップ以降のジャズの歴史において、コニッツはパーカーとは全く違う、しかし同じくらい魅力的な音色とフレーズ、タイム感、そして美学を備えた数少ないスタイリストだった。個性的である、というのは、少なくとも