日本で3回目となる緊急事態宣言にも「東京オリンピックとは関係ない」。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長の発言には耳を疑う。テレワークで独り言が増えたためか、思わずパソコンの画面に向かって私は叫んでいた。「そんなの、おかしいやろ」 4月21日のIOC理事会後、オンライン記者会見でバッハ氏は、新型コロナウイルス感染再拡大による緊急事態宣言は「ゴールデンウイークに向けての限定的、予防的な対策」であると強調し、今夏の開催に影響はないとの考えを示した。 日本の感染状況について、日本医師会の中川俊男会長は「これまでで最大の危機」との見解を示す。命や暮らしが脅かされ、日常のささやかな楽しみが制限されながら、五輪だけが特別であっていいはずはない。大会関係者は「バッハ氏は日本人の感情が分かっていない」と頭を抱えたが、IOCだけではない。政府も組織委も東京都も同じ。東京五輪について「開催する」の一点