カナダのケベック州で育ったチリー・ゴンザレス(本名ジェイソン・ベック)は99年、新天地を求めてベルリンに渡った。当初はエレクトロ・パンク系のラッパーとして活動していたが、やがて大きな転機を迎える。そのきっかけは、プロデューサーを務めたフランスの女優兼歌手ジェーン・バーキンの『Rendez-Vous』(2004年)の制作中に、スタジオの片隅でピアノを弾いたことだった。 このとき、ゴンザレスは『Rendez-Vous』の制作に翻弄され、なおかつ自分の作品を久しく作っていないこともあって、ストレスを抱えていた。ゴンザレスは、そのストレスを少しでも解消するためにピアノと虚心に向き合った。そのピアノの演奏をたまたま聴いていたフランス人プロデューサーの勧めもあって、初のソロ・ピアノ・アルバムとして作られたのが、『Solo Piano』(2004年)である。この静謐なソロ・ピアノ・アルバムは、ゴンザレス
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