もうあちこちで散々言われていることだとおもうけど、この小説はすごい!!すっごいおもしろい!!おもしろいことだけは、まったく明白なのだけど、でも、そのおもしろさとはどういったものなのか、どうにもうまく表せない。たぶん、そこがすごい。いったい何がどうおもしろいのか、その核心みたいなものが(そんなものがあるとして、だけど…)つかめる感じが全くしない。文章の強度とか、そこに宿る意思とか、ちからとか、そんなことばをつかって、うやむやにしたくなったりしてしまう。語られるエピソードのひとつひとつはとても鮮烈なのだけど、小説全体には、安易な隠喩的な解釈を拒んでいるような印象があって、“意味”“象徴”みたいな、小説を語るのに(あるいは説明・解釈するのに)都合のいい枠にきれいに収まってはくれない。 しかし、いちばん驚いたのは、なんだかぜんぜん日本の小説って感じがしない、ということだ。かといって、保坂和志が言っ