裸の大将こと山下清画伯がつけた放浪の記録をまとめた一冊。文章の切れ目が非常に少なく、ので、ので、で延々つながっていく文章のリズムが読んでいるうちになんか癖になってくる。 この放浪日記にあるのは、山下清という一人の人間のリアルな生活そのものだ。人間生活してればいい人にも会えば悪い人にも会う。そして、自分自身だっていい人間であるときもあれば悪い人間であるときだってあるはずだ。 そもそも清が放浪生活を始めたきっかけというのがそれまでいた施設の生活にあきてしまったことと、戦争の兵役逃れなのだ。兵隊の位にたとえることは好きでもやっぱり戦争には行きたくないのである。こわいから。このへん実に正直。そして、清はまず住み込みの仕事を探しながら、親切な人から握り飯をだまし取ったりする生活を始める。これは実際日記にだまして貰った、って書いてあって、年を若く言ってみたり、親は死んだなどと同情を引くようなことを言っ