アベノミスクは、異次元の金融緩和と機動的な財政出動の二つが特徴として語られがちだが、徹底した「消費抑圧」も、公言されることのない政策の柱である。それゆえ、消費が弱く、物価が上がらず、売上が高まらず、賃金が伸びない仕儀となった。黒田日銀がいくら「金融抑圧」をかけ、痛いほど円安にしたところで、抑圧される消費を超えるような輸出の増加でもなければ、2%物価目標をクリアしてのデフレ脱却とはならないのである。 ……… 7/22に家計可処分所得の1-3月期がGDP速報の参考系列として公表され、2021年度の数字が判明したこともあり、これで推移を見てみよう。まず、アベノミクスでは、雇用者報酬が伸びた。質はともかく、量が増大したのは、立派な成果であり、リーマンショック後の減少と低迷からの脱却に成功している。ところが、家計消費は伸びなかった。所得が増せば、消費も増えるという「法則」に反する異常事態である。 そ
バブルは弾けてみて分かる。昨日の日経平均は一時15,500円を割り、異次元緩和第2弾前の水準に戻った。結果として、金融緩和によるバブルだったわけだ。2014年10月末のハロウィン緩和から、順調に経済が成長していれば、実体が株価に追いついていたかもしれないが、週明けに公表される10-12月期GDPは、2015年度の8兆円の緊縮財政もあり、2015年1-3月期の529兆円を下回るだろう。金融緩和と緊縮財政の組み合わせはバブルを作る。 一方、ドル円は、115円と書こうと思ったら、朝方に113円台前半まで来ている。2014年10月は111円台だったから、幾ばくかは効果が残っている。もっとも、円安による輸入品の値上がりは、消費の増大で物価が高まるのとは逆に、国民生活の水準を低下させてきた。脱デフレは、物価が上がりさえすれば良いというものではない。円安が設備投資や雇用・賃金の増加に結びつかないと意味が
もう状況はだいたい分かっているし、後は段取りつけて実行するだけの状態なんじゃないですかね…。 企業の収益力向上の方策 取りまとめへ http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140421/k10013887711000.html [引用] 日本の「稼ぐ力」の低下が指摘されていることから、経済産業省は、ことし6月にも予定されている政府の新たな成長戦略の策定に向けて、研究会を作り、企業の収益力を高める方策を取りまとめることになりました。 新たな成長戦略って… 国内経済のてこ入れですか? それとも円安を活用した輸出促進ですか? どっちもいままで頑張って取り組んできたように思うんですよ。強靭化とかクールジャパンとかお題目はいろいろありましたけれども、あれは何だったんでしょうか。 一年間取り組んできたことの決算と評価をしながら、当初掲げた戦略の軌道修正をするのであれば分かり
内閣府が作成する「中長期の経済財政に関する試算」は、日本の経済と財政を運営するに当たって指針となる重要な資料なのだが、実に奇妙なシロモノである。以前、本コラムで指摘したように、昨年8月の「試算」は、アベノミクスで景気が好調であるにもかかわらず、国の一般会計の2013年度の税収が前年度よりも低く設定されているものだった。 これでは、素人でも一目で変だと分かる。推計は足元から将来へ伸ばすものだから、足元の数字が狂っていたら、信用できない。おそらく、「当初予算の数字を書くのがルール」といった経済推計の外の事情でこうなったのだろう。こんなことをすると、何のためのものなのか分からなくなってくる。 ……… そんな「試算」のニューバージョンが1/20に公表された。さすがに、昨年のようなことはなく、2013年度の税収は、前年度より2.2兆円多くなっている。ところが、3年後の2016年度の税収は、前回の「試
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