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ブックマーク / allreviews.jp (26)

  • 『70歳の日記』(みすず書房) - 著者:メイ・サートン 翻訳:幾島幸子 - 大竹 昭子による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:メイ・サートン翻訳:幾島幸子出版社:みすず書房装丁:単行(416ページ)発売日:2016-07-26 ISBN-10:4622078627 ISBN-13:978-4622078623 「自分らしく」と願う切実な声夜中に目が覚め、虫たちの声が聞こえる中、書を開いた。こんなふうに真夜中に読書するのは久しぶり。追うべき筋があるわけではないから、ゆっくりと味わえる。「なぜかはわからないけれど、花の名前を書いていると唾が出てくる!」のところで爆笑。夜のしじまを自分の笑い声が引き裂いた。 メイ・サートンはアメリカの女性作家。詩、小説、随筆も書くが、最初に翻訳出版された『独り居の日記』がいちばんよく知られているし、読んで心に響くのも日々を綴った日記だ。七十歳の一年間を記した書も切実な声にあふれ、読みながらその声のなかに入ってしまいそうになる。日記という形式において、彼女がもっとも価値をおく

    『70歳の日記』(みすず書房) - 著者:メイ・サートン 翻訳:幾島幸子 - 大竹 昭子による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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    facebooook 2020/05/13
    “五十代のとき小説のなかで同性愛を告白して大学の職を追われた。どの流派にも属さず前衛的でもない作品は、文学界でも注目されない時期が長く続く。人の願いを無視するには他者の苦しみがわかりすぎてしまう人”
  • 『蜂起 〈インティファーダ〉: 占領下のパレスチナ 1967-1993』(東京大学出版会) - 著者:鈴木 啓之 - 鈴木 啓之による自著解説 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:鈴木 啓之出版社:東京大学出版会装丁:単行(400ページ)発売日:2020-03-28 ISBN-10:4130363018 ISBN-13:978-4130363013 内容紹介: 1987年にパレスチナでなぜイスラエルに対する民衆蜂起(インティファーダ)が起きたのか? パレスチナ人の抵抗の歴史と蜂起の背後にあった構造的な変化を,さまざまな史料を渉猟しスリリングに描き出す.パレスチナ問題に新たな視角を提供する画期的な論考.【第9回東京大学南原繁記念出版賞受賞作】 東京大学出版会が創設した「東京大学南原繁記念出版賞」の第9回受賞作である『蜂起〈インティファーダ〉』が3月に刊行されました。この刊行に際して著者の鈴木啓之先生の解説を特別公開します。 パレスチナではなぜイスラエルに対する民衆蜂起が起きたのか? 第9回東京大学南原繁記念出版賞受賞作『蜂起〈インティファーダ〉』刊行に際して『

    『蜂起 〈インティファーダ〉: 占領下のパレスチナ 1967-1993』(東京大学出版会) - 著者:鈴木 啓之 - 鈴木 啓之による自著解説 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
  • ペスト、天然痘、スペイン風、新型コロナ…感染症が世界史を変えてきた|出口 治明+鹿島 茂の対談 - 出口 治明による対談・鼎談 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    新型コロナウイルスが世界を席巻している。まだ終息は見えない。思えば、有史以来、人類は感染症と闘ってきた。碩学がその歴史をたどり、希望を生み出す知恵を語り合った。 出口 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、四月七日に日でも東京、大阪、福岡など七都府県に対して緊急事態宣言が出され、十六日には全国に拡大されました。でも、今の日の法律では、ヨーロッパやアメリカのように外出禁止命令が出せない。市民ひとりひとりの自覚ある行動に頼るしかありません。 鹿島 ヨーロッパでは、感染が爆発しはじめたら突然、ロックダウンで都市閉鎖、外出禁止になったでしょう。現地にいた日人はすごく驚いたと思いますよ。実は彼らは歴史的にそういうやり方に慣れているんです。ヨーロッパの基は都市国家で、その都市は城壁で囲まれています。そして、敵が攻めこんできたり、疫病が広がったりしたら、門を閉じて、自分たちの生命と財産を守る。そ

    ペスト、天然痘、スペイン風、新型コロナ…感染症が世界史を変えてきた|出口 治明+鹿島 茂の対談 - 出口 治明による対談・鼎談 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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    facebooook 2020/05/13
    “歴史人口学者の速水融さんが、その日本での被害を詳細に追跡した『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ 人類とウイルスの第一次世界戦争』(藤原書店)という力作を残してくれました。”
  • 『私の幸福論』(筑摩書房) - 著者:福田 恒存 - 中野 翠による解説 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:福田 恒存出版社:筑摩書房装丁:文庫(234ページ)発売日:1998-09-01 ISBN-10:4480034161 ISBN-13:978-4480034168 内容紹介: 人間は不平等だ。悪いといおうが、いけないといおうが、事実だ。しかし現実がどうであろうとこの世に生まれた以上、あなたは幸福にならねば…。誤まった幸福観を正し、人間の当の生き方とは何か、幸福とは何かを、平易な言葉で説いた刺激的な書。 不幸にたえる術としての幸福論福田恆存は一九九四年十一月二十日に亡くなった。 オウム真理教の人びとによる地下鉄サリン事件も知らず、「援助交際」なる少女売買春に対して世の大人たちがお手上げ状態だったことも知らず、見開きに「愉悦」という言葉が三回も出て来るような空疎でガサツな不倫小説が一大ベストセラーになったということも知らずに亡くなった。 八十歳を過ぎて自分の生まれ育った国の醜態を見せ

    『私の幸福論』(筑摩書房) - 著者:福田 恒存 - 中野 翠による解説 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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    facebooook 2020/03/13
    “現実の世界では人間は不平等です。悪いといおうが、いけないといおうが、それが事実なのです。 唯一のあるべき幸福論は、不幸にたへる術を伝授するもの“
  • 『ヤズディの祈り』(赤々舎) - 著者:林典子 - 大竹 昭子による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:林典子出版社:赤々舎装丁:単行(208ページ)発売日:2016-12-27 ISBN-10:4865410589 ISBN-13:978-4865410587 内容紹介: 2014年8月3日、ダーシュ(過激派組織IS、イスラム国)の侵略を受けた中東の少数民族、ヤズディ。土地を奪われ、家族を殺害され、女性は性的暴力を受け、山に逃げ込んだ人々は恐怖と絶望の中、次々と倒れていった。30余組の証言と、現地で共に生活をしながら撮り続けた写真で照らし出す、ヤズディの記憶と未来。 未知の対象、想像する力鍛える「ヤズディ」が何かを大方の人は知らないと思う。イラク北西部にいる少数民族で、独自の信仰と伝統を継承している。私も書を読むまで知らなかったが、二〇一四年夏、彼らの村々はダーシュ(過激派組織IS)に突然襲撃され、数日間に数千人が殺害、若い女性は拉致されて性的暴力を受け、逃げた人の多くも山中で息

    『ヤズディの祈り』(赤々舎) - 著者:林典子 - 大竹 昭子による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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    facebooook 2019/09/08
    “他の少数民族のことかもしれないし、近所の隣人や、職場の寡黙な誰かのことかもしれない。“
  • 『掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集』(講談社) - 著者:ルシア・ベルリン 翻訳:岸本 佐知子 - 中島 京子による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:ルシア・ベルリン翻訳:岸 佐知子出版社:講談社装丁:単行(322ページ)発売日:2019-07-10 ISBN-10:4065119294 ISBN-13:978-4065119297 鮮烈な印象残す物語タイトルは、収められた二十四の短篇(掌篇含む)の中の一作の表題から。こんな文章に読み手はびっくりする。 掃除婦が物を盗むのは当だ。ただし雇い主が神経を尖らせているものは盗らない。 掃除婦の「わたし」は、認知症気味の雇い主が溜め込んでいる十五個もある瓶入りのゴマを一瓶盗んだ。それ以外に盗むのは、睡眠薬である。複数の家で働く彼女は、それぞれの家から集めた睡眠薬を三十錠持っている。バスに乗って、カリフォルニアのあちこちの家に行き、掃除をする彼女は、行く先々で、死んでしまった薬物中毒の夫、ターのことを考える――。 掃除婦は、小説の作者であるルシア・ベルリンが実際に、自分自身と四人の子ど

    『掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集』(講談社) - 著者:ルシア・ベルリン 翻訳:岸本 佐知子 - 中島 京子による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS