SF界で「ブルドーザー」にも喩(たと)えられた小松左京の旺盛な知力が、いかにしてSFという表現のかたちに出会ったのか。まずは彼の少年時代を追ってみましょう。案内人は、評論家の宮崎哲弥(みやざき・てつや)さんです。 * * * 小松左京は、1931(昭和6)年1月、大阪市西区の京町堀(西船場)に生まれています。本名は小松実。 五男一女の二男でした。 父親は千葉県館山の網元の家に生まれましたが、明治薬学専門学校(現明治薬科大学)に学ぶうち、東京人形町で漢方薬を商う老舗の娘と知り合います。小松左京の母親です。婚約して父が一足先に大阪に行った直後の1923(大正12)年9月1日、まだ東京にいた母は関東大震災に遭います。 小松は子供の頃、母からその被災の体験談を聞かされて育ったそうで、彼の天変地異のイメージの起源はここにあるのかもしれません。また千葉の網元だった父の実家も大震災で大きな被害を受けたと
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