タグ

ブックマーク / www.gqjapan.jp (7)

  • 映画『ウーマン・トーキング 私たちの選択』が描く「赦しの罠」

    ※以下、結末までのネタバレを含みます。 信仰と赦しそのとき、ペトロがイエスのところに来て言った。「主よ、兄弟がわたしに対して罪を犯したなら、何回赦すべきでしょうか。七回までですか。」イエスは言われた。「あなたに言っておく。七回どころか七の七十倍までも赦しなさい」(『新約聖書』「マタイによる福音書」18章21-22節) サラ・ポーリー監督・脚映画『ウーマン・トーキング 私たちの選択』(Women Talking、2022)は、実際に起こった事件に触発されて作られた。2005年から2009年にかけて、ボリビアのメノナイトが住むコロニーで、女たちが朝目覚めると体に不可解なアザなどがあるという出来事が続発するようになる。メノナイトはプロテスタントに属する再洗礼派と呼ばれる宗派のひとつで、このコロニーにはとくに保守的な宗派の信徒が住んでいた。しばらくは悪魔の仕業ではないかなどと言われていたが、実

    映画『ウーマン・トーキング 私たちの選択』が描く「赦しの罠」
  • 関東大震災朝鮮人虐殺事件から99年目──僕たちは差別を止める側、弱者を助ける側に回れるのか?

    9月1日、約10万5000人の犠牲者を出した関東大震災から99年が経つ。震災直後のデマによって、多くの朝鮮の人たちが殺害された痛ましい事件、そして、いまも存在する差別について、在日コリアン3世であり、出入国在留管理局(入管)に収容されている人々の支援団体「Save Immigrants Osaka」のメンバーとして活動するチャ・ヨンジ(Jwa Yongjik)が考えた。 はじめに僕は在日コリアンが多く住む地域で日の学校に通って育った。そのため、日人の友だちもたくさんいたし、在日コリアンの友だちもたくさんいた。子どもの頃に差別を受けた記憶がない。そんなこともあってか、自分が朝鮮人であるということにあまり関心がなかった。どうでもいいことだった。どちらかというと貧しい家庭だったので、子どもに民族的な教育をする余裕がなかったのか、それとも、大人になって興味をもったときに自分で勉強すればいいと、

    関東大震災朝鮮人虐殺事件から99年目──僕たちは差別を止める側、弱者を助ける側に回れるのか?
    facebooook
    facebooook 2023/04/07
    今秋で関東大震災から100年
  • カニエ・ウェスト、YEEZYのショーで「White Lives Matter」Tシャツを発表。ファッション関係者から批判の声が集まる

    10月3日(仏現地時間)、イェ(カニエ・ウェスト)は、9回目となるYEEZYの最新コレクションSeason 9のランウェイショーを開催した。 パリ8区で行われたこのショーは、イェの前説で幕を開けた。続いて、ナオミ・キャンベル、ミシェル・ラミー、歌手のジェイムス・ブレイク、そして、ローリン・ヒルとローハン・マーレーの娘であるシーラ・マーリーといったモデルたちが、特徴的なモノトーンのオーバーサイズのルックを身にまとってランウェイに登場した。日曜日の礼拝を思わせる聖歌隊がパフォーマンスを行い、その模様はYouTubeでライブ配信された。聖歌隊には、イェの子どもたちも参加していたようだ。 米ニュースサイト『Page Six』によると、「私はイェ。ここにいる誰もが私がリーダーであることを知っています。私を管理することはできません。これは管理できないことなのです」と、自己紹介を行ったという。彼は、背面

    カニエ・ウェスト、YEEZYのショーで「White Lives Matter」Tシャツを発表。ファッション関係者から批判の声が集まる
  • 臨床心理士・東畑開人さんインタビュー【後編】──“自分のせい”にする前に、できること

    シェアとナイショ──昨年のGQウェブでのメンタルヘルス特集では、精神科医・鍼灸師の森川すいめいさんに、フィンランド発祥の精神治療法「オープンダイアローグ」についてお聞きしました。オープンダイアローグとは文字どおり「開かれた対話」を意味し、クライエントとその家族や友人、専門家チーム(医師、看護師、心理士など)が一堂に会し、対話を重ねていくことによって回復を目指します。心理士とクライエントが密室で1対1で対話するカウンセリングとは対照的に見えますが、東畑さんはそれぞれをどのように捉えていますか? 東畑:それはまさに『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』の4、5章「シェアとナイショ」で扱ったテーマです。僕らが他者とつながるときのふたつの原理を、社会学では「共同性」と「親密性」と呼びます。の中では、これらを「シェアのつながり」と「ナイショのつながり」と呼び、臨床心理学の面から捉え直す

    臨床心理士・東畑開人さんインタビュー【後編】──“自分のせい”にする前に、できること
  • 臨床心理士・東畑開人さんインタビュー【前編】──「心はシンプルでなくていい」

    メンタルヘルスが不調になりがちな5月、臨床心理士の東畑開人さんに心との向き合い方について訊いた。その前編。 臨床心理士であり、文筆業でも活躍中の東畑開人(とうはた かいと)さん。この3月に、新刊『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』(新潮社、以下『見つかる夜』)が刊行された。かつて深層心理学者ユングは、誰の身にも起こりえる、未来を見失ってしまうような危機の時期を「夜の航海」と呼んだ。書では、カウンセリングにおいて、心理士である東畑さんがクライエント(患者)たちの「夜の航海」をどのようにナビゲートしているかが丁寧に描かれていて、読者はを通してカウンセリングを擬似体験することができる。新刊にまつわるエピソードにくわえ、不安定な時代を生きる私たちは、どのように心と向き合うべきか、話を訊いた。

    臨床心理士・東畑開人さんインタビュー【前編】──「心はシンプルでなくていい」
  • コラムニスト・小田嶋隆が残した功績【追悼企画】──Vol.01:内田樹

    「鋭い批評性と親切心が同居する不思議な味わいがあった」小田嶋隆さんの訃報が届いたのは、禊祓いの行をしている途中だった。メールを読んでから道場に戻って行を続けた。小田嶋さんは、こういうのが大嫌いな人だったと思いながら、身勝手ながら供養のつもりで祝詞を上げた。 僕が最初に小田嶋さんの文章を読んだのは70年代終わりか80年代初めの、東京の情報誌『シティーロード』のコラムでだった。一読してファンになった。「若い世代からすごい人が出てきたな」とか「端倪すべからざる才能である」とか思って驚いたわけではない。ただ、「この人のものをもっと読みたい」とだけ思った。それだけ中毒性のある文章だった。それから彼の書くものを探して、むさぼるように読むようになった。 実際に拝顔の機会を得たのはそれから20年以上経ってからである。当時毎日新聞社にいた中野葉子さんが憲法9条をテーマにしたアンソロジーを編みたいというので僕

    コラムニスト・小田嶋隆が残した功績【追悼企画】──Vol.01:内田樹
  • ウクライナの大統領になったコメディアン。ウォロディミル・ゼレンスキーはどのようにして“物語”を支配したか?

    ウォロディミル・ゼレンスキーは、世界で最も“ありえない”国家指導者であると同時に、世界で最も人気のある指導者かもしれない。大統領を演じて有名になったコメディアンが当に大統領になり、それを超越する、という彼のシュールな人生模様は、筆者がこの記事を書いている2022年2月最後の週末の時点では、もう誰もが知っている。 映画『パディントン2』のウクライナ版でパディントンベアの声を務めた彼は、12のコメディと1映画に出演した人物である。ゼレンスキーは、2019年、当時のトランプ大統領から、ウクライナへの軍事支援などと引き換えに、バイデン氏に絡む疑惑の調査を依頼されたという。これが「権力の乱用」にあたるとされ、トランプ氏は弾劾訴追を受けることにもなった。そしてゼレンスキーは今、包囲された首都・キエフの街角で、プーチンと対峙している。 ゼレンスキーという存在が世界的な反響を呼んでいるのは、彼が世

    ウクライナの大統領になったコメディアン。ウォロディミル・ゼレンスキーはどのようにして“物語”を支配したか?
  • 1