本校は、中等部の新入生が5人しかいない時期もあるなど、経営が思わしくありませんでした。そんなとき、80歳を超える卒業生から言われた言葉が、いまも忘れられません。 「卒業後、子育て、戦争、舅の介護と日々の生活に追われ、初めて同窓会に出られたときは涙が出た。戦争で家が焼け、親兄弟もすでにこの世にいない。私の故郷はここしかない。どうか母校を守ってほしい」 ――このままでは卒業生の母校がなくなってしまう。 その危機感が、私の原点になりました。 学校は、卒業生にとっての故郷です。卒業生の母校を守りたい。その一心で学校改革を始めた結果、7年後には志願者がのべ1800人近くになりました。 そう語るのは、品川女子学院の漆紫穂子校長。いまでは試験日によっては出願倍率10倍近い人気校となっている品川女子学院を改革した人物だ。 『働き女子が輝くために28歳までに身につけたいこと』を上梓したばかりの漆さんに、より