2011年7月24日の地上デジタル放送(地デジ)完全移行まで、あと1年。日本の全世帯の2割強にあたる1100万世帯が、地デジへの対応を終えていない。アンテナ交換が必要な南関東や、地デジの電波が届かない山間部での遅れが目立つ。「地デジ難民」を生まないよう、国や放送局は周知を急ぐが、不安はぬぐえない。 東京都北区でクリーニング店を営む岩井淳一さん(73)は、地デジ対応に忙殺されている。築40年の木造2階建ての店舗兼アパートも所有しているが、自宅も含め、アナログ放送しか映らない。 岩井さんは今月16日、総務省などの地デジ相談会に出席し、途方に暮れた。「切り替えに数十万円はかかる」と聞いたからだ。集合住宅向けの国の助成制度を使えば工事費の半分を見てもらえるが、申請は8月末まで。「もう時間がない」と慌てた。 自宅やアパートはこれまで、近くの5階建てマンションによる電波障害を避けるため、マンショ