辞職目前の3月、沖縄少年院にて(撮影・仲村渠真理) 「非行少年は“大物”になる資質を備えている」 「少年院を日本一の学校にする」 そんなメッセージを発信し続け、世の中の偏見や固定観念を打ち破ってきた沖縄少年院の法務教官・武藤杜夫(39)が2017年3月、法務省を去り、教え子である少年院の卒業生2人と共に、「日本こどもみらい支援機構」を設立した。国家公務員という身分を捨ててまでも実現させたい未来とは―。 異動の内示 幹部昇任も「迷わず辞職」 ―武藤さんが沖縄少年院を退職したという知らせに衝撃を受けました。多くの人が驚いたと思います。どうして辞められたのですか? 「ことし(2017年)1月、成人対象の刑事施設に幹部として異動するよう内示が出たんです。迷わずお断りしました。2年前、登山中の滑落事故に遭って死にかけたとき、『残りの人生は現場で子どもたちのために使う』と決めていた。だから迷いはありま