ボーイミーツガール、そしてグッバイ。 ぼくらの住むこの世界では旅に出る理由があり 誰もみな手をふってはしばし別れる 小沢健二「ぼくらが旅に出る理由」 今作では何度も「じゃあ、またね」というお別れが描かれる。大きなお別れに備えるように。その別れ際、ルーや犬魚がいつも手をふって見送ってくれるのがいい。心を解放させるような歓びは、積み重なった哀しみの中からしか生まれない。『夜明け告げるルーのうた』は実に真っ当なジュブナイル映画だ。 高低差と傾斜に溢れた港町という舞台設計がまずもって素晴らしく、”湯浅政明”印と言っていいであろう柔らかく揺らいだ線が、空間の狭間でポップに弾ける。そして、気持ちいいほどにセルアウトしている。どちらかと言えば観客を選ぶタイプの作家であった湯浅政明の、キャリア初のファミリー向け映画ということで、物語展開もキャラクターデザインも既視感バリバリながら、安心して観ていられる。キ
![湯浅政明『夜明け告げるルーのうた』 - 青春ゾンビ](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/bc1dd681831fcc871d2f897a6d157b69f389253e/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn-ak.f.st-hatena.com%2Fimages%2Ffotolife%2Fh%2Fhiko1985%2F20170523%2F20170523192056.jpg)