雨の降る日はあまり外出したくないけれど、どうしても外に出かけると言われては仕方がない。 子供用と大人用、傘を2本用意して外に出て、雨の日にはいつもするように、傘を差している時に頭の上で間近に響くビニールにあたる雨の音と、その傘をさっと地面に下げた時に周囲のアスファルトから響いてくる雨の音が、同じ雨の音なのにまったく違っていてそれがとてもおもしろいのだ、という事を教えようとするけれど、今の彼女はそのような話にはまったく興味がなくて、反響する雨の音などはつまらないとでも言うように、私の言葉や大げさな身ぶりから逃げ出して駆ける。それでもすぐ、自分の足で歩くのに飽きた、傘を差すのにも飽きたと言うから、結局はほとんどの道中を肩車しながら手を伸ばして傘を差し、えっちらおっちらと歩く。湊川商店街まで来ればアーケードがあるからもう傘は必要ない。以前は毎日のようにしていた肩車も最近は回数が激減して、終わりが